ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
――ジュスランの愛さえも、今のジェルトルーデには意味がなかった。ヴィニーシアより、ジェルトルーデが劣っているということが許せない、ただそれだけ。
「そうね、あの娘が祠で結界を強化していれば、ジェルトルーデは他の仕事ができるものね」
「そうでしょう、お母様」
同じ母から生まれたはずなのに、母の愛もまたジェルトルーデに注がれる。ジェルトルーデにだけ。それを当たり前のように受け入れてきた。
「私、社交界で隣国の噂を聞くこともあるのだけれど――ガラティア国王は、まだ妃を迎えていないそうよ。婚約者すら決まっていないのだとか」
王妃としてこちらの国から送った聖女が、正当な地位を与えられていない。その事実さえあれば、ヴィニーシアを取り戻すことはさほど難しくないだろう。
「では、すぐに隣国に赴く準備をしなくてはな」
真っ先に立ち上がったのは、父だった。ジェルトルーデはうなずく。
すべてをあるべき形に戻さなければ。
(――それに)
ジュスランが面白そうだと言うから話を合わせておいたけれど、ヴィニーシアがガラティア王国の王妃になるなんて、本当は許せなかった。
「そうね、あの娘が祠で結界を強化していれば、ジェルトルーデは他の仕事ができるものね」
「そうでしょう、お母様」
同じ母から生まれたはずなのに、母の愛もまたジェルトルーデに注がれる。ジェルトルーデにだけ。それを当たり前のように受け入れてきた。
「私、社交界で隣国の噂を聞くこともあるのだけれど――ガラティア国王は、まだ妃を迎えていないそうよ。婚約者すら決まっていないのだとか」
王妃としてこちらの国から送った聖女が、正当な地位を与えられていない。その事実さえあれば、ヴィニーシアを取り戻すことはさほど難しくないだろう。
「では、すぐに隣国に赴く準備をしなくてはな」
真っ先に立ち上がったのは、父だった。ジェルトルーデはうなずく。
すべてをあるべき形に戻さなければ。
(――それに)
ジュスランが面白そうだと言うから話を合わせておいたけれど、ヴィニーシアがガラティア王国の王妃になるなんて、本当は許せなかった。