ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 シアのことには、まったく興味がないようだ。彼女の興味は、室内のインテリアとシアがどのような扱いを受けているかということに集中しているのだろう。

(お茶くらい……出すべき……?)

 三人を椅子に座らせ、その正面に立ったままシアは困惑していた。
 一応客人なのだから、お茶くらいは出すべきだろうか。だが、この三人に会いたいとは思っていなかったし、歓迎するつもりもさらさらないし。というか、客人扱いしたくない。
 とにかく、シアを追い出してほっとしていたはずの三人が、なぜ改めてここに来たのかは見当もつかないのだ。
 王宮に入る許可にしても、離宮まで足をのばす許可にしても、簡単にとれるものではないはずなのに。エヴァンドロなら、シアの元家族が押しかけてきたら、先にシアに連絡くらいくれそうな気がする。

「……なにか、御用でしょうか」

 立ったまま口を開いたシアの言葉に、三人は顔を見合わせた。まるで、最初に誰が話を切り出そうかとしているかのように。

「いい、知らせがあるんだ」

 父――いや、エクスレイ伯爵――が口を開く。シアは、身を固くした。
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