ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 それでも聖女の祠にいることを許されていたのは、シアが浄化することのできる瘴気の量が他の人よりはるかに多かったから。
 そうでなければ、きっと聖女の祠からも追い出されていた。
 王妃としてこの国に来たのに、ひとり離宮で暮らしている段階で、シアはまだ不幸に見えるかもしれない。
 けれど、この国の人達は、エヴァンドロは、シアを自由にさせてくれる。閉じ込めたりなんてしない。

(私を利用しようと思えば、できたはずなのに)

 先日の魔物の襲撃で、シアは持てる力をほぼ見せてしまった。
 もし、これがセアルド王国だったら、シアは王宮に無理やりに連れていかれ、そこで力をふるうことを期待されただろう。
 それに、王宮に連れていかれた段階でシアの正体も知られたはず。
 でも、この国の人達は違った。
 エヴァンドロは市井で暮らしているシアを無理やり王宮に呼ぼうとはしなかった。ベラの店に圧力をかけて、必要以上のポーションを納品するよう強制されたこともなかった。
< 222 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop