ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 だが、今、鋭く伯爵を追求する声は、エドのものとよく似ている。

「俺の城でなにをしていると聞いたんだが?」
「いえ、陛下、これは」

 他国の王族相手に、さすがの伯爵もいくぶん腰が引けているようだった。額に脂汗をにじませながら、エヴァンドロを言いくるめようとする。

「む、娘に躾をしていただけです」
「躾? どう見ても、暴行しようとしていたようにしか見えないがな」
「そんなつもりは!」
「彼女は俺の客人だ――俺の宮で、暴力は許さない。帰れ!」

 ですが、ともごもごと続けようとしていた伯爵だったけれど、エヴァンドロの気迫に押された様子だった。
 じりっとエヴァンドロが一歩前に出る。彼の手が、腰の剣にかかった。
 それを見た伯爵家の人達もまた一歩下がる。シアはその場に立ち尽くしたまま、ただ、その様子を見ていた。

「帰らないというのなら、兵士を呼んで摘まみ出させるが」
「む、む、娘を連れ帰ろうとして、なにが悪い!」

 気迫に押されながらも、エクスレイ伯爵はそう言い放つ。まだ、シアのことを娘だと思っていたのか。いや、これはきっと口実だろう。シアをここから連れ出すための。

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