ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「だいたい、あなたは、王妃として送られたこの娘をここに押し込め、見向きもしなかったではないか。今さらなにを」

 そう続けられて、シアの胸はずきりとする。本当、元父というだけあり、エクスレイ伯爵はシアが傷つく言葉を選ぶのが上手だ。

「そうですわ、陛下。それに、この娘は陛下にふさわしくありません――だって、呪われているのですから!」
「ほぅ、ということは、セアルド王国は俺に呪われている人間を押しつけたことになるが? 聖女は呪いなど受けないものなのだろう? ということは、聖人聖女を派遣してくれるという協定を破ったということか?」

 あざけるような口調で追及され、伯爵夫人は口を閉じた。さすがに、まずいことを口走った自覚はあるらしく、顔が青ざめている。

「そんなつもりはありません。陛下だって、姉がお側にいない方がいいでしょう?」

 伯爵の言葉に重ねるようにジェルトルーデが言った。

(――そう、私は望まれてここに来たわけじゃなかったから)

 ここに来るまでの道中は、わくわくしていた。どんな形であれ、エヴァンドロはシアを望んでくれたのだと思っていたから。
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