ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「呪われてたので、見かける度に祓ってました。こんな感じで」

 指先をちょちょいと動かす。シアにとってはそれこそ朝飯前。神殿に頼んだら、まぁまぁなお布施をしないといけないのは知っている。
目を見開いたエヴァンドロは、深々と息をついてから、居住まいをただした。

「ヴィニーシア・エクスレイ嬢、俺はあなたに謝罪をしなければならない。国元から追われたあなたを、最初は受け入れようとしなかった」
「そんなの、別に――」
「あなたが、俺にかけられている呪いを解いてくれたのに、俺はそれにも気付いていなかった」
「気付かれなくてもいいと思ってましたしね」
「街が魔物に襲われた時も――十分な謝礼をしていない」
「可愛い服をくださったじゃないですか。それで十分ですよ」

 聖女の祠で暮らしていた時よりずっと、今、ここでの生活は満たされている。そう言いたいけれど、伝わっているだろうか。

「では、その上で聞く。俺になにかできることはないか。恩を返したい」
「んー、今の生活が楽しいから。今まで通りで」
「離宮の家事をする使用人を増やしたりとか――」

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