ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
(ええと、言わなきゃいけないことがあったはずなんだけど)

 ――そうだった。呪いを完全に解けるようになったのだった。。
 だが、勝手に解いてしまうというのはどうなのだろう。
 エドに話だけでもしておかなくては。

「行ってくる!」

 マルをその場に残し、慌ててエドのあとを追う。その時、エドとの距離はかなりあいていた。

「ちょっと待ってください!」

 もう少し早く気付けばよかった。走り出してから後悔する。
 向こうからヨアキムがやってくるのが見える。どうやら、エドを追いかけてきたらしい。

「――陛下!」

 そう呼びかけたら、声が届いたらしくエドは立ち止まった。
 彼の前まで到着しても、すぐには声が出てこない。膝に両手を置いて、ぜぇぜぇとしてしまう。運動不足だ、絶対に。

「あのですね、どうやってお伝えしようか迷っていたんですけど――正体バレた今なら、いいかなって」
「なにを?」

 いきなり言われて、エドが困惑した表情になる。リスヴェンの街中で顔を合わせた時にはよく見せていた表情になった。
 本当、髪の色を変えていたくらいで、どうして気付かなかったんだろう。

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