ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 エクスレイ家の者達は、シアが偽聖女だと言うけれど、それは違うというのを、エド自身目の当たりにしたではないか。

「親切な方、ですね」

 ぼそりとヨアキムがつぶやいた。

「ああ――ヨアキム、宮中に網を張り巡らせろ。体調を崩す者がいれば、そいつが俺に呪いを送りつけてきた犯人だ。身内が体調を崩したという者も残らず探せ」
「かしこまりました」

 ヨアキムがそっと頭を下げる。
 どんな結末が待っていようが、受け入れるしかないのだろう。
 にっこりとしたシアの表情に、思わず目を吸い寄せられた。なにをしているのだろう。
 最初に、シアを拒んだのはこちらだというのに。
 だが、シアはまったく気にしていない様子で、すっと頭を下げる。その所作の美しさにまた、目を奪われた。
 祠で暮らしていた間も、貴族の令嬢として受けていた教育は忘れていなかったらしい。ベラの店で顔を合わせた時とは、表情も所作も一変している。
 本人はそう呼ばれるのを嫌がっていたけれど、彼女は聖女だ――今、まさにこの時それを実感した。

(――あの時も、そうだった)

 街が襲われた時。
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