ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「いえいえ、そういうことではないの。あなたの人生は、まだ続くわ――今のところは」

 今のところは、というとなんだかものすごく不穏である。今のところって、あと一年くらいだろうか。
 シアの心の中を読み取ったかのように、また女神の口元に苦い笑みが浮かぶ。

「平均寿命くらいは生きられるはずよ」
「それなら大丈夫です、女神様」
「あなたは――本当に欲がない」

 近づいてきた女神は、シアの頬に手を当てた。夢の中なのに、女神の手は温かくて、なんだか泣きたいような気分になる。

「私は、あなたを愛していますよ。今まで苦しめてしまって、本当にごめんなさい」

 女神が、つらそうな表情になった。そんな顔を見たかったわけではないのに。

「私とヴォラスとの戦いは、もう何千年も続いています」

 創世の女神は、この世界を破滅に導こうとする邪神ヴォラスと共に封じられている。その分陰の中でも、ヴォラスとの戦いは続いているらしい。

「だから、あなたの運命がゆがめられているのに気付きながらも、何もできなかった」

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