ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 その運命のゆがみの結果が、何度も繰り返される人生なのだそうだ。女神は、シアをこの運命から救い出そうとしてくれた。ようやく、十一回目になって成功したらしい。

「なんで、私の運命はそんなに歪んでしまったのですか?」
「ヴォラスに加護を願う者もいます。自分達の居場所を奪われた人達です。人間の言葉では魔女、と呼ぶそうですね」

 魔女と呼ばれる存在がいたということはシアも知っている。だが、歴史上の存在であって、現実のものだとは考えてもいなかった。魔女がいると知ったところで、シアにできることはないのだけれど。

「今回は、マルをあなたのところに行かせることができてよかった――少なくとも、あなたの運命を変えることはできたもの」

 そう微笑む女神は美しかった。だが、なぜマルの名がここで出てくるのだろう。

「マルは私に仕える者です。家妖精に姿を変えていますが――天使、と呼んでもよいでしょうね」

 シアの疑問は、女神には完全にお見通しだった。でも、これで今回の人生でだけマルに合えた理由もわかった。

< 244 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop