ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 セアルド王国の結界が、なくなってしまうのは困る。別にあの国に戻りたいと考えているわけではないけれど。あの国にいる人達の生活が魔物に脅かされるのは――困る。
 だって、シアがどうでもいいと思っているのは元婚約者だったり、元家族であるエクスレイ伯爵家の人達だけであって。
 なにも知らない一般の人達までシアの事情に巻き込まれるのは困る。

「あなたは、優しいのね。あの国の結界がなくなるわけではないわ――ただ、そうね。祈りを捧げる者がいなければ、結界は弱くなることでしょう。あなたを失った段階で、結界は弱くなっているのですけれどね」
「なにも知らない人達が巻き込まれるのは困りますね……」
「しかたがないわ。あなたを追い出した。それが彼らの選択だもの」

 女神の言葉に、シアはうなずくことしかできなかった。

「それともうひとつ」

 女神は真剣な表情になった。シアの背筋が思わず伸びる。

「かつて魔女、と呼ばれた者達が、再び動き始めています。彼らが力を取り戻せば、ヴォラスを復活させてしまうかもしれません――気を付けてください。私には、これ以上のことはできないのですけれど」

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