ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 わかった――と返事をしようとして、女神の姿が薄れ始めたのに気付く。どうやら、今はこれ以上のことは伝える余裕がないらしい。

 * * *



 国境の地にいたジュスランは、戻ってきたエクスレイ家の面々を見てため息をついた。

(――どうして、こいつらはまともな仕事ひとつできないんだ)

 シアを離宮から連れ出し、ここに連れてくるだけの簡単な仕事。任せろと自信満々に言っていたのは、どこの誰だ。
 魔物の発生は日々増えているし、ジュスランの仕事は増える一方。

(これなら、あいつの方がまだましだった)

 ヴィニーシアを捨てたことが、今さらのように後悔される。
 よく考えてみれば、ヴィニーシアはジェルトルーデよりだいぶましだった。たしかに醜いが、聖女の祠に押し込められていても文句ひとつ言わなかった。
 毎日女神に祈りを捧げ、ポーションを作る。それだけの生活に、満足していた。あの娘なら、王妃にしたあとも祠に押し込んでも文句は言わないだろう。
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