ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 他国の問題にそこまで首を突っ込むのはいかがなものかというのは、ジュスランには通用しない。ジュスランの邪魔をする者が悪いのだ。

「イリア王太后がいたな。彼女には、息子がひとり、いたはずだ」

 もともとエヴァンドロが死去するなり、退位するなりすれば、彼女の息子が王位を継ぐはずだった。
 だが、真の聖女が側にいる今、エヴァンドロにかけられている呪いとやらも、きっと解除されているだろう。
 イリアをつつくのならば、その点だ。
 イリアの息子を新たな王とし、彼の手でヴィニーシアを離宮から出してしまえばいい。

(――本当に、俺は頭が切れる)

 王太后は、ヴィニーシアがいるのとは別の離宮で生活しているという。馬鹿正直に正面から入る必要はない。
 ひそかに離宮を訪れることにしよう。
 そう決めたジュスランは、邪魔になるであろうエクスレイ家の面々を、先に国に戻すためにはどうしたらいいか考える面白くない作業に取りかかった。

 ジュスランの使いの者が、イリアの離宮からの返事を持って戻ってきたのは、それから数日後のことだった。
 深夜、イリアに招かれてジュスランは密かに離宮を訪れる。

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