ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 意味ありげに、イリアは微笑む。そして、彼女の前にひざをついているジュスランの首に、円盤のついた鎖をかけた。

「――これは?」
「これは、我が国に伝わる秘宝ですわ。殿下なら、使いこなすことができるでしょう」
「秘宝――」

 ジュスランの目が、円盤に吸い寄せられた。古の文字で、なにやら難しそうな言葉が書かれている。
 どうしたのだろう。円盤から、目を離すことができない。
 そうしているうちに、ジュスランの意識は闇に飲み込まれていく。耳の奥に、イリアの声が聞こえてくる。

「――そなたを、贄にしよう」

 古の魔女、と。彼女がそう名乗ったのを最後に、ジュスランの意識は完全に閉ざされた。
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