ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「前から思っていたのですが――まるで、自分の店のように振る舞うんですね」
「ベラさんから許可はいただいていますよ? お客さんの話が長くなりそうなら、お茶くらいはいれてやれって言われてますし」

 ベラの店には、さまざまなハーブも売っている。
 体調によってハーブの組み合わせを変えるハーブティーの調合は、ベラが得意とするところらしい。この店でのハーブティーは、販促の一環でもあるわけだ。
 ベラが体調に合わせて調合したハーブティーを買って帰ることもできるから、ハーブティー目当てのお客さんもいるくらいだ。

「まあ、ありがたくいただきますけれども」

 ヨアキムの方は、シアに対してよそよそしい。でも、それでいいのだろう。ヨアキムhagとシアの道が交わるのは、この場所だけで十分だ。

「つらいですね」

 と、手早く用意したハーブティーを差し出しながら、ぽつり。
 エドの呪いは解除したけれど、別の意味で眠れなくなりそう。だから、心を穏やかにする効果のあるものを選んだ。
 信じていた相手に裏切られるのは、つらい。それが、血がつながっていないにしても家族ならなおさら。

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