ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「――そうだな、つらい……か」

 ひょっとして、口にしてはいけないことを言ってしまっただろうか。
 不安になっていたら、エドは薄い笑みを浮かべた。

「王座というものは、人を変えてしまうのかもしれないな」

 それって、やっぱり実体験なのだろうか。
 なんとも言えない空気が、店内を満たした――と、その時。
 ゴォーン、ゴォーン、ゴォーンと、街の広場にある鐘が三度打ち鳴らされた。

(……これって)

 たしか、前にも聞いたことがある。この鐘が三度鳴らされた時は、街にいる冒険者達は冒険者組合に集合するのだ、と。
 以前、魔物の襲撃の時にも打ち鳴らされていたのを思い出した。あの時も三度鳴らされ、そのあとは一般市民に王宮への避難を促すために激しく鳴らされていた。今回は三回だけ。ということは冒険者を招集してはいるけれど、リスヴェンに危険が迫っているというわけではない。

「確認してきますっ!」

 ぱっと立ち上がったヨアキムが、先に店を出ていく。カップに残ったハーブティーを飲み干したエドも、ヨアキムのあとを追った。

(ど、どうしよう……!)

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