ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 シアが役立つことはふたりも知っている。冒険者ではないが、役には立てる。
 冒険者組合までふたりを追いかけたいけれど、この店を空っぽにするわけにもいかない。落ち着きなくうろうろしていたら、マルがすかさず飛び出していった。
 戻ってきたマルは、真剣な顔をしていた。

「国境に、大量に瘴気が発生しているみたいだよ。それで、魔物が押し寄せてきているって――とにかく、魔物に対抗できる人間が必要だって、冒険者をかき集めて国境に送ろうとしているところみたい」
「国境?」
「うん。セアルド王国側に発生してるって」

 国境とはいえ、地図上だけのもの。一応国境を越えるための関所は設けられているが、そんなものを通り抜けなくても行き来はできる。

(……ああ、やっぱり)

 瘴気が大発生したと聞いて、胸が痛くなった。
 レウマリアの祠を出る時、祈りは捧げてきた。
 だが、新たに聖女になった妹が、どこまで祈りを捧げてくれるのかについては、シアは気にしていなかった。
 シアを追い出すのだから、聖女としての役は新たに聖女になった者が受け継げばいいと思って。
 だが、良心の呵責を覚えないと言えば嘘になる。

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