ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
(……私にできること、ううん。私にしかできないこと)

 水さえあれば、シアはポーションを作ることができる。なんなら、目の前に連れてきてくれれば、その場で治療だってできる。
 ――なにより。
 大量発生している魔物の瘴気を浄化することができるのは、聖女としての役をレウマリアから預かっている者だけだ。その人数はさほど多くないということをシアは知っている。

「マル、行こう」

 この国に来てまで、聖女として見られるのは嫌だと思った。だが、このままここに残ったら、きっと良心の呵責に耐えられなくなる。
 慌てた様子でベラが戻ってきた。

「――シア、行ってくれるかい?」
「もちろんですよ!」

 心は、決まっている。ベラから店の商品を託され、シアは籠を抱えて冒険者組合に走った。

(グリフォンがいる……!)

 グリフォンは、非常に貴重な魔獣だ。一頭に三人ほど乗せることができ、急いで人や物資を運ぶ時に使われる。
 以前、遠くの地まで瘴気を祓いに行かねばならない時だけ、何度か乗ったことがあった。
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