ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 険しい顔をしたエドは、冒険者組合の組合長と話し込んでいる。組合長の目がこちらに向いたのに気付いたシアは、籠を手にしたまま近づいた。

「国境に行くんですよね? それなら、私も」
「いいのか?」

 組合長とエドの声が綺麗に揃う。シアはうなずいた。
 シアは冒険者ではなく、ポーション職人ということになっているから、本来国境まで行く必要はない。
 だから、エドも組合長も、シアには『来い』とは言わなかった。シアのポーション製作能力が、常軌を逸していたとしてもだ。

「シアは冒険者じゃないから――」
「行きますよ、だって……ここで役に立っておかないと、ただ飯ぐらいじゃないですか」

 冗談めかした口調で付け足す。
 この国に来てから、あまり働いていない。あんなにいい場所に住ませてもらっているのに、こういう時にお返ししないでいつ返すというのだ。

「頼めるか?」
「かまいません――というより、私がそうしたいんです」

 瘴気が発生し、魔物が生まれているのは、セアルド王国との国境だという。
 いい思い出のない母国ではあるけれど。そこに住んでいる人達のことまで憎んでいるわけではない。

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