ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「また、面倒をかけることになるな」
「ただ飯食らうわけにはいかないって言ったでしょう? ご飯の分くらいは働くので、安心してください」
「食材の提供しかしていないけどな」
後ろからエドの笑う声がする。少しでも、気が楽になったのならよかった。
(大丈夫――私は、私の全力を尽くすことだけ)
風が、前に向き直った髪をなびかせる。
それもまた、シアにとっては、決意の表れのようにも思えた。
「今回も、前回と同じ手でいけるか?」
「もし、誰かが核を置いていたら――同じ手を使うことになるでしょうね」
「……悪いな」
「大変なのは、エドさんの方ですよ――私は」
けれど、そこでシアは止まってしまった。いったい、今、なにを言おうとしていたのだろう。
なんだか言ってはいけないことを口走ってしまいそうで、きゅっと唇を結ぶ。
「俺はこの国の人間だからな、俺が動くのは当然だ」
「それなら、私は食費の分働かないといけないので!」
だから、あえて話題をずらす。
食費か、と繰り返したエドが、後ろで笑う気配がした。