ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「セアルド王国側は、なにをしているんだ? これだけ、瘴気が発生しているというのに。あちらには、聖人も聖女もいるのだろう?」
「これだけの瘴気、一度に祓うのは難しいですから、浄化しきれていないのだと思います」

 セアルド王国には聖人も聖女もいたが、一番強い浄化の力を持つのはシアだった。シアの場合、体内に取り込んでから浄化していたから、本来の浄化とは違うというのが周囲の見解であったけれど。
 シア自身、これだけの量を一度に浄化できるかと問われると難しい。
 国境の向こう側のことではあるが、こちらの国境を越えれば、ガラティア王国の民にも影響が出る。
 マルが言っていたように、国境なんて人間が勝手に作ったもの。瘴気にも魔物にも関係ない。

「シア、先に祓った方がいいと思う」
「わかった。ちょっと、行ってきます」

 ポーションを入れた籠から、ひょいとマルが顔を出す。家妖精改め天使もいることだし、なにか起こるということはないだろう。

「それなら、俺も行こう。空から行った方が、速い」
「いえ、俺が」

< 266 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop