ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 そう言えば、この状況でエドさんと呼び続けるのはどうなのだろう。誰もなにも言わないので、どさくさ紛れにエドさんで通してしまっているが。
 だが、この状況でそこを追求しようという者もいない。
 休憩をとり、元気いっぱいになったグリフォンの背に乗って再び空高く舞い上がる。
 シアは大きく息を吸い込んだ。大丈夫、この程度の瘴気なら、核を破壊してしまえばいい。

(……見つけた!)

 瘴気の源を見つけた。あれを封じればいい――けれど。なんで、核が動いているのだろう。

「どうした? 核が見つからないのか?」
「そうじゃないんですよ、動いてるんです……!」
「は?」

 背後から、面食らったような声がする。前回、エドが切った核は、岩のようなものだった。だから今回も同じようなものだと思っていたのだろう。それは、シアも同じ。
 けれど、今見ている核は、ガラティア王国側に向けてゆっくりと前進している。瘴気を吹き出すそれはとてもおぞましく、上空から見下ろしているシアの背筋を凍らせた。

(……待って!)

< 268 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop