ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 信頼されている。まるで、昔からの仲間のように。
 エドとの付き合いはさほど長いわけではないのに、こんな風に信頼されて、胸が熱くなる。

「しっかり掴まってろ!」

 と言うなり、エドはグリフォンを再び降下させる。飛び込んだのは、ジュスランの真正面。ジュスランへの進路をふさぐように魔物が左右から飛び込んでくるのを、エドは剣の勢いだけで薙ぎ払った。
 そして、ジュスランの目前に飛び込んだ。片足を鐙から抜いたエドは、上半身を思いきり傾け、剣を伸ばす――次の瞬間、グリフォンは急上昇。
 エドが不安定な体勢になった分、シアの身体も激しく傾き、鞍から飛び出しそうになる。

「きゃあああああっ!」
「シア、やれ!」

 思いきり悲鳴をあげたけれど、エドの言葉にすっと恐怖心が遠のいた。
 消えろ、瘴気なんて全部消えてしまえ!

「空に、大地に、空気に、光に――すべてのものに還れ!」

 上空から降り注いだ光が、瘴気を一気に浄化。瘴気が薄れていくのと共に魔物の姿も消えていく。

「やったな」

 ぽん、と背後から肩に手を置かれる。そして、後ろから伸びてきた手が、シアの目の前でなにかを揺らした。

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