ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「陛下――もしつらいようなら」

 余計なことかと思いながら、シアは口にする。ここから先は、シアがひとりで行ってもいいのだ。わざわざエドがついてくる必要はない。

「いや、俺が行く。今回の事態、俺にも責任があるからな」

 エドには、そんな責任ないと思うのだけれど。
 人払いをしたから、ふたりの他、離宮には人のいる気配はない。使用人達も皆、別の建物に移動済みだ。
 イリア王太后のいる部屋の周囲は、ピンと空気が張り詰めていた。扉をノックするも返事はない。
 エドは扉を開き、シアを伴って中に入った。

「――お前達!」

 ぐったりとソファにもたれていたイリアは、ふたりを見るなり飛び起きる。だが、頭が痛んだらしく、すぐさまソファに倒れ込んだ。

「頭が痛いですか? つらいですよね――だって、陛下に放った呪いが、そのままあなたに返ってきたんだもの。どうして私、気付かなかったんだろう」

 祓っても祓っても、呪われ続けていたエド。呪いをかけている本人がここにいたのだからそれも当たり前だ。
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