ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 エドを殺そうとしたのは、魔女の血筋をこの国に招き入れるためであったけれど、弟王子に向けるイリアの愛情は本物だったらしい。
 名前が出るなり、彼女はぴたりと動きを止めた。

「俺を殺そうとしたこと、魔物を呼び寄せたこと、隣国の王太子を贄にしたこと――アンセルムには黙っていてやる。少なくとも数年の間は」

 アンセルムはまだ幼い。母がそんな罪を犯していたと知ったら、どうなるかわからないからとエドは続ける。

「イリア王太后。王太后の地位をはく奪し、生涯幽閉。不満はあるだろうが、聞き入れるつもりはない」

 返事の代わりに、彼女は呻いた。エドは続けた。

「あなたは、生涯幽閉されることとなる。あなたの魔力は、瘴気を浄化するために有効活用させてもらおう」

 古の魔女の力を、瘴気を浄化するのに使えると教えてくれたのはマルだった。イリアには、マルの作った腕輪がはめられる。その腕輪は、常にイリアの魔力を吸い上げ、近隣に発生する瘴気を自動的に浄化するそうだ。
 ある意味、聖女の役をイリアに負わせることになるが――罪の償いなのだから、最低限、そのくらいはしてもらわなければならないだろう。
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