ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 結局、ジュスランはセアルド公爵の跡取りの地位もはく奪された。他国に害を及ぼそうとしたわけで、放置するわけにはいかなかったらしい。
 シアを無理やり連れ戻そうとしたエクスレイ伯爵家の面々ともども、幽閉されているそうだ。

(……放っておいてくれたらよかったのに)

 かつて、彼らの愛を望んだこともあった。でも、何度も同じ人生を繰り返すうちに、彼らの愛は不要となった。
 シアとは関係のない遠いところで、彼らが幸せになるならば、祝福まではしないにしても、そっとしておいてあげたのに。
 シアがなにを望んだとしても、彼らの耳には届かなかったかもしれないけれど。
 カラン、とベルが鳴り、シアは顔を上げた。

「こんにちは、今日はポーションですか?」

 唇に笑みをたたえて問いかける。入ってきたのはエドだった。

「ああ。ロランのポーションを一本と、カナデのポーションを一本頼む」

 今日は式典があったはずなのだけれど、ここにいていいのだろうか。
 てきぱきと頼まれた二本のポーションを渡し、代金を受け取る。
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