ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
ヨアキムは、いくぶん不機嫌そうな表情である。南の離宮に、彼女を入れたのがそんなに気に入らなかっただろうか。
「国に戻れないって言うからしかたないだろ」
「セアルド王国は、こちらを馬鹿にしているのに、ですか?」
それを言われてしまうと、少しばかり後ろめたい。
どういうわけか、彼女を帰してはいけないという声が、耳の奥に聞こえたような気がしたのだ。いや、頭の中に直接語りかけてきたのかもしれない。
エヴァンドロは、その言葉に素直に従うことにした。その結果が、南の離宮への滞在許可である。
だが、これをヨアキムに告げたところで、彼には伝わらないだろう。言葉で説明することの難しさを、エヴァンドロはよく知っている。
「かまわないさ。俺が送り返したせいで野垂れ死にされるのは――ほら、良心の呵責というか」
「必要ないと思いますがね」
そんなことを言っても、無理やりこの国に送られてきたのだから彼女も被害者のひとりと言ってもいいだろう。
こちらをまっすぐに見ていたシアの黒い瞳。彼女の瞳を思い出すと、心の中でなにかが揺らされるような気がする。懐かしさを覚えているような――。
「国に戻れないって言うからしかたないだろ」
「セアルド王国は、こちらを馬鹿にしているのに、ですか?」
それを言われてしまうと、少しばかり後ろめたい。
どういうわけか、彼女を帰してはいけないという声が、耳の奥に聞こえたような気がしたのだ。いや、頭の中に直接語りかけてきたのかもしれない。
エヴァンドロは、その言葉に素直に従うことにした。その結果が、南の離宮への滞在許可である。
だが、これをヨアキムに告げたところで、彼には伝わらないだろう。言葉で説明することの難しさを、エヴァンドロはよく知っている。
「かまわないさ。俺が送り返したせいで野垂れ死にされるのは――ほら、良心の呵責というか」
「必要ないと思いますがね」
そんなことを言っても、無理やりこの国に送られてきたのだから彼女も被害者のひとりと言ってもいいだろう。
こちらをまっすぐに見ていたシアの黒い瞳。彼女の瞳を思い出すと、心の中でなにかが揺らされるような気がする。懐かしさを覚えているような――。