ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
(王様って、大変な職業ね。呪われるの前提なんだもの)

 と、ちょっとずれた感想を抱きながら、シアはエヴァンドロの前で頭を垂れる。

「昨日、生活費のことについて話すのを忘れていた」
「生活費、ですか?」
「そうだ。離宮で暮らすなら、こちらで生活費を持つ必要があるだろう。それと、侍女を派遣しなければ」
「――いりません」

 シアは即座に首を横に振った。侍女なんていらない。そんなことになったら、ベラのところにポーションを卸しに行けなくなるではないか。

「だが、離宮は広い」
「それはまあ、そうですけど。掃除のしがいがありますから」

 掃除をしているのはシアではなくてマルだが、ここはそう言っておく。エヴァンドロはますます渋い顔になった。

「陛下はご存じないかもしれませんが、私、聖女として祠で暮らしていたんです。ひとりの方が気楽なんです。自分の身の回りのことは自分でできるし」
「――だがな」

 たぶん、この人は義理堅いのだなとシアは思った。
 シアなんて、押しつけられた花嫁である。
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