ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「さーて、今日は収穫を済ませちゃいますかね!」

 腕まくりをして、シアは離宮の裏手に作った家庭菜園に向かった。
 そう、家庭菜園である。王宮なのに家庭菜園。
 この表現はどうかと自分でも思うが、他に説明する言葉をシア自身持たない。生活に必要な品は支給されるとはいえ、限りなくただ飯食らいに近い。申し訳ないので、食糧自給率を上げることにした。
 シアひとりとマルの分だけ育てればいいから、大量に育てているわけではない。
 例えば、トマトの苗は二本、キュウリも二本、といった塩梅だ。じゃがいもは長期保存できるから畝一列分。その代わり、成長の早い葉物野菜を中心に種類は豊富だ。三十種類以上をここで栽培している。

(……毎日食材を届けてくれる人に、お礼もしないといけないしね)

 この苗などもシアが頼んだら持ってきてくれた。
 ここに家庭菜園を作ることをどう思っているかはわからないが、好きなようにさせてもらえるのだからありがたい。

「シア、今日はトマト食べる?」
「オリーブオイルとチーズであえて食べようか。それとも、煮込んじゃおうか」

 鼻歌交じりにトマトとキュウリを収穫する。それから、トウモロコシもよさそうだったので、収穫。

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