ずっと前から、やっぱり好きだった。
ただまっすぐ、ガン見してた。陸牙もおんなじ小学校だったんだから小学校の夏祭りに来ることなんて全然驚くことじゃないのに。近所なのに、あんなにグラウンドだって見まくったのに。陸牙と同じ中学の子たちには何回か会ったことがあるのに、陸牙だけは1度もなかった。私にとって陸牙は伝説レアキャラくらいだった。でも結局、陸牙と喋ることはなかった。声をかけてくれたその男子とちょっと喋っただけだった。
運動場に戻ると、もう人もたくさん集まってきていて、PTA会長の話も始まっていた。背が昔から1番高かった陸牙は、中学生になってもずば抜けて高かった。
さっき見たときに私は、無意識のうちに陸牙の帽子、服、リュックを覚えていたみたい。陸牙自体を見てただけだったのに、細かく覚えてしまっているのが無性に恥ずかしかった。身長が高い陸牙は見つけやすかった。あの後も見つけたりはしたけど、目が合うことはなかった。私が知らない間に、陸牙もちょっとは私のことを遠くから見つけて、見ていてくれたら嬉しいなって、期待しちゃう。それはありえないんだろうけど。
(やっぱり、1番かっこよかったな…)

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