ずっと前から、やっぱり好きだった。
夏祭りが終わる。魔法も解ける時間だ。っていっても、一方的に私が見つめていただけなんだけどね。
それでも、3年間1度も見なかった陸牙に会えて本当に嬉しかった。想いは一瞬でまた鮮やかになった。
「ありがと〜楽しかったね!また遊ぼ〜」
そう言ってみんなと別れる。あっ、そうだ、あれきかなくっちゃ。
「ねぇ奏!みんなのインスタ教えて〜」
「いいよ!あ、ギガ食うから家帰ってからでもいい?」
「おけおけ!」
「じゃあねっ!あとでDMする〜」
そう言って、手を振って奏たちと別れる。あたりはもう真っ暗だったけど、余韻に浸るには最高の暗さだ。
実は、話しかけてきてくれたりなんて妄想もしてたけど、まぁそんな訳ないよね。私はシンデレラじゃないんだから、王子様とダンスなんて出来なくって当たり前だ。
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