ポケットの中のおもいで
逢いたいよ
あの日からずっと,何かある度に思いだした。
ずっとその日を待っていた。
でも,もう。
そろそろ逢いたいよ,海月。
1度も,浜辺ですら逢えない始末。
もしかして,バレちゃったの?
学校には,通えた? 今は何高?
聞きたいこと,話したいこと,沢山あるよ。
私の事,覚えてる?
それだけが,ずっと怖い。
私はもう着れない服からそれを取り出して,上着のポッケに大切にしまった。
それは私の,思い出そのもの。
ぎゅっと詰まったあの日を証明する,大事なもの。
約束が形になったもの。
「ハァ……」
緊張する。
私は大きく息を吐いて,組んだ両手を上に上げた。
「んー!」
さぁ,行くか。