あなたとわたしで紡ぐ愛
ーーそう。6年前、兄の親友で、兄に託されたからという理由だけで血の繋がりも何もない私を引き取って面倒を見てくれた渓くんに、私は恋をしている。
でも今の私にとって渓くんは、血の繋がりはないけれど唯一家族と呼べる存在で。
最初から特殊でしかなかった私たちの関係の中に、それは絶対に持ち込んではいけない感情で。
二度と家族を失うのはごめん被りたい私は、だからこの不毛な恋心を隠して彼のそばにいることを選んだ。
恋人にはなれなくても、家族として近くにいられるのならそれでいいと。
"願わくば、このままずっとこの生活が続きますように"
毎年2人で近所の神社に初詣に行く度に、こっそりお賽銭を奮発して神様にお願いしていた。