あなたとわたしで紡ぐ愛

「休みの日以外はジュースはダメってお兄ちゃんに言われてたけど、佐和さんと渓くんが来る時だけは特別に飲ませてもらえたから、私お兄ちゃんにしょっちゅう『今日は佐和さんと渓くん来ないの?』って聞いてたんですよね」

「あら、可愛いー」

「でも飲ませてもらえるのはいつも1杯だけで。だから『お兄ちゃんたちだけお酒何杯も飲んでズルい!』って言ったら渓くんがそれもそうだって2杯目入れようとしてくれて、お兄ちゃんに怒られて」

「あー!あったあった!『こら、渓!翠が虫歯になったらどうするの!』って!」


あの時お兄ちゃんにそう言われた渓くんは、『ああ?1杯も2杯も大して変わらねーだろ。ちゃんと歯磨けば問題ない』そう言って、佐和さんがお兄ちゃんを押さえ込んでくれてる隙に2杯目をなみなみと注いでくれたんだ。

それを、お兄ちゃんに取られないうちにと私が慌てて一気飲みしようとして。むせた私にみんなが笑った。

4人での思い出は、あの頃から数え切れないほど積み重ねて来た。

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