あなたとわたしで紡ぐ愛


スイカ割りはお兄ちゃんの悪ふざけで危うく渓くんを叩きそうになるというハプニングはあったものの、無事割れたスイカは綺麗に切り直した後縁側に並んで3人で食べた。


『翠。塩振ると美味いぞ』

『えぇ〜?おしお⁉︎』


そのままかぶりついていた私のスイカにサッと塩を一振り振った渓くん。


『ほら、騙されたと思って食ってみ?』


『う、うん……。……えっ、うそっ、おいしいっ!』

『だろ?』

『あはは、新しい世界が開けちゃったね、翠』

『って(そう)、スイカの種飛ばすな馬鹿』


衝撃の美味しさに目を丸くして顔を綻ばせた私に、渓くんが得意気に笑って。それを見たお兄ちゃんも嬉しそうに笑った後、ぷっ!とスイカの種を飛ばして渓くんに怒られて。


それから夜には実家が呉服屋さんだという佐和さんが浴衣を持って来てくれて、みんなで浴衣に着替えて花火もした。

そういえば、手持ち花火をぶんぶん振り回したお兄ちゃんが、また渓くんに怒られて……。


ふふ。とても懐かしくて温かい、夏の思い出。



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