あなたとわたしで紡ぐ愛



ーー私は、昔から渓くんのことも佐和さんのことも大好きだ。

2人がいてくれたから寂しくなかったし、ここまでやって来れた。

感謝してもしきれない。


お兄ちゃんがいなくなってから、佐和さんは私の前では気丈に振る舞ってはいたけれど、見えないところではたくさん泣いたり悲しんだりしていたと思う。

そんな佐和さんを支えていたのがきっと渓くんで。

それが手に取るようにわかってしまうからこそ、ジュエリーショップで2人を見た日から、私は少しずつ、少しずつ覚悟をして来た。


きっと、まだ胸は少し痛んでしまうかもしれない。


でも、それでも私は決めた。


誕生日の日には、私の方から渓くんの手を離そうと。


"この手を離すときは自分から"


あの時、そう決めたから。
 
優しいあの2人に、お兄ちゃんの分まで幸せになってもらうために。



"私はもう、1人で大丈夫だよ"と、

お兄ちゃんとの約束を律儀に6年も守り続けてくれたこの人の手を。


私から笑顔で離そうーーーー。






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