あなたとわたしで紡ぐ愛
「……あ、いや、今日も暑いから、これは目から出た汗っていうか……!」
……馬鹿なの?私……。もっとマシな言い訳あったでしょう……。
慌てて雑に頬を拭えば、その手をパシっ、と大谷くんに掴まれ、園田さん、ちょっとこっち、とホテルの前から少し端の方へと誘導された。
「……ひょっとして失恋、ですか?」
「え……」
「……違ってたらすみません。でもオレ前に清水さんに、"園田さんには好きな人とか彼氏はいるんですか"って聞いたことあって。そしたら清水さん、"あの子にはずっと昔から片想いしてる相手がいるよ"って」
「…はは、そんなこと言ってたんだ、沙織。……うん、まぁそんな感じ、かな」
私が眉を下げて苦笑すれば、くりくりとした子犬のような瞳が急に真剣な色を宿して私を真っ直ぐに射抜いた。