あなたとわたしで紡ぐ愛
7、決意side渓


『渓くん。お兄ちゃんが亡くなってから今日までの6年間、ずっと私の面倒を見てくれてありがとうございました』


さっきまで無邪気に料理を堪能していた翠が、まるで嫁ぐ前の娘のようなセリフを言い出した時は本気で心臓が止まるかと思った。

ああ、オレがグズグズしてる間に、ついに他の男に横から掻っ攫われちまったのか、と。


でも、


"もう1人で大丈夫です"

"お兄ちゃんとの約束になんて、もう縛られないで下さい"

"お兄ちゃんの分まで佐和さんと、どうかお幸せに"


次々飛び出して来る言葉に、オレは首を捻った。



……どうも予想外の方向へ話が転がっている。



だがそれを問いただす暇もなく、翠はオレの前からあっという間に逃げ出してしまった。



ーーオレが今日、どんな思いでお前をここへ連れて来たかも知らないままにーー。



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