あなたとわたしで紡ぐ愛
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『渓。僕に何かあったら、渓に翠を託す!』
『は?お前、何言ってんの。もう酔ってんのかよ?』
珍しく、話があるから2人で飲みたいと誘われたのは、事故の前の週のことだった。
翠が小学生のうちはよく蒼の家で家飲みをしていたが、翠が高校生になってからはたまにだが外に飲みに行くこともあった。
『酔ってませーん。まぁ人間いつ何があるか分からないからさ。備えあれば憂いなしって言うでしょ?』
『……縁起でもねぇこと言ってんなよ。つーかオレにガキのお守り押し付けんな』
『……ふーん?ガキ、ねぇ?』
『何かそのカオ、ムカつく』
オレがムスッとビールを煽れば、蒼はケラケラと笑った。
『あはは!まぁ僕はもちろん翠が成人して、いつか結婚して家族を作って、その家族に看取られて逝くところまで全部見届ける予定だけどさ』
『ってお前、あいつより長生きするつもりでいんのかよ……』
『うん、もちろん。どんなにヨボヨボになっても翠を置いて先には逝かないつもりだよ』
『……おいおい、何歳離れてると思ってんだよ。とんだシスコンだな』