あなたとわたしで紡ぐ愛
ーーー蒼、お前、一体いつの間にこんな……。
"渓になら、翠をお嫁にあげる♡"
という若干ふざけた言葉と共に添えられた、ヘタクソな似顔絵付きの付箋が貼ってあるその用紙。
それは、証人の欄に蒼と仁藤の署名と捺印がされた、婚姻届、だった。
"僕は賛成だから"
あの時の、あいつの言葉が蘇る。
……いつから気づいてたんだよ、オレの気持ちに。
本当に、お前は最後の最後まで食えねー男だな……。
つーかそもそも翠の方はオレのことをそういう目で見てないし、お前が死んだ時点でこの婚姻届の効力もなくなってるわ、馬鹿……。
とんだフライングをぶちかましてくれた男に、オレは込み上げるものを抑えながら自嘲気味に笑った。