あなたとわたしで紡ぐ愛
ーーこうして兄貴からの許可は早々に得ていたものの、"翠と本当の家族になりたい"というオレの野望は、前途多難だった。
なぜなら唯一の肉親を失ったばかりの翠にとって、今頼れるのはオレだけで。
それ故、オレは翠にとってのいい兄貴代わりでいなければならなかった。
オレが万が一にでもそういう素振りを見せて、あいつがここに居づらくなるなんてのは本意じゃない。
今この気持ちを出すのは、あいつの信頼を裏切ることになってしまう。
だから結局"兄貴"という体裁は、守らざるを得なかったのだ。
だがオレを全く男として意識していない翠は少々厄介だった。
ある時は制服のまま、またある時は風呂上がり、Tシャツに短パン姿で縁側で安心しきった顔でうたた寝している翠。
惚れた女の露わになった足に、無防備なその姿に、理性が悲鳴を上げそうになったのは一度や二度ではない。
オレの理性が試された場面はこれ以外にも数えきれないほどあるが、手を出さずに耐えたオレを褒めて欲しい。