あなたとわたしで紡ぐ愛
「……全っ然違うわ馬鹿……。何でそんな話になってんだ……」
呆れたようにため息混じりに呟いた渓くんに、私は混乱する。
「えっ⁉︎だ、だって……!」
「だって?」
「指輪……!」
「……指輪?」
「見ちゃったんです!ジュエリーショップで渓くんが佐和さんと指輪を選んでるところ。だから私、2人はもうすぐ結婚するんだと思って……!」
「……誤解だ」
渓くんが片手で顔を覆った。
「え……?」
「それは誤解だ。オレは仁藤の指輪を選んでいたんじゃない」
佐和さんの指輪じゃない……?
だとしたら、渓くんは一体、誰の指輪を選んでいたというの……?
「……いいか、翠。これからオレの大事な話をする。よく聞け」
彼は顔を覆っていた手を退けて、身体ごと私の方を向く。
いつになく真剣で切実な声に、眼差しに、何を聞かされるのか怖くて私がぎゅっと目を瞑った、次の瞬間。