あなたとわたしで紡ぐ愛



「ーー翠のことが好きだ。オレと、結婚して欲しい」



聞こえてきたのは、全く予期していなかった言葉。


「……へ……?」


間抜けな声と共に恐る恐る目を開けば、渓くんの甘い熱のこもった瞳が真っ直ぐに私を射抜くから、私の心臓が大きく跳ねた。


そして渓くんがポケットから小さな箱を取り出し、それを開く。
 

そこにあったのは、柔らかなカーブを描く華奢なアームの中央に、ダイヤモンドがキラキラと輝く指輪ーー。



「オレと、本当の家族になって欲しい」



さらに紡がれたそのひとことに、一瞬時が止まった気がした。


今目の前で起こっている出来事が、とても信じられない。


これは、夢……?


「……お前が見たのは、多分これを買いに行った時だ」

「……え……?」

「オレが翠の薬指のサイズが分からないとうっかりこぼしたら、仁藤が"私に任せなさい!"とか言うから連れて行っただけだ」

「嘘……」

「嘘じゃない。オレは、翠にプロポーズをするためにこの指輪を買いに行った」

「……っ!」

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