あなたとわたしで紡ぐ愛
……じゃあ2人のことは、私が勝手に勘違いしてただけってこと……?
混乱する頭と心に渓くんのプロポーズとその事実がじわじわと染み込んで来て。
同時にまた込み上げて来た涙は、呆気なく私の目からこぼれて落ちた。
「ったく、馬鹿だなお前は、妙な誤解して……」
私の頬を指輪を持っていない方の手で優しく包み込み、親指でそっと涙を拭ってくれながら渓くんが困ったように眦(まなじり)を下げた。
「あ、あんなの、誤解するなっていう方が無理です……!」
「はは、悪かったって。まさかあれを見られてたとはな。だが仁藤ももうすぐ結婚するらしい。蒼が亡くなってから、ずっと仁藤を支えてくれていた上司と」
「えっ⁉︎」
あまりの驚きに、一瞬涙が引っ込んだ。
「そういやこの前翠にも報告するつもりだったらしいが、蒼の彼女だった自分が他の人との結婚を決めたこと、翠がどう思うか考えたらなかなか言い出せなかったって落ち込んでたな」
……ひょっとして、この前佐和さんが言い出しづらそうにしていたのは、そのことだったの……⁉︎
……そんなの全然気にしなくていいのに……。
私が佐和さんの幸せを、喜ばないはずないのに……!
へなへな、と一気に身体から力が抜け、正座していた足も崩れた。