あなたとわたしで紡ぐ愛
ーーどうやら、私が導き出していた答えは本当にことごとく誤答だったらしい。
「……ふふ」
恥ずかしいのと情けないのとホッとしたのと。
いろいろな感情が混ざり合って、涙と一緒に笑みがこぼれた。
そんな私の涙をまた拭ってくれながら、渓くんの瞳が愛おしそうに細まる。
「……翠のこと、ずっと好きだった。一緒に暮らす前からずっと、妹としてじゃなく、1人の女として」
「……一緒に、暮らす前から……?」
彼の突然の告白に、私は目を見張った。
「お前を引き取ったのは、蒼に頼まれたからじゃない。オレの意志だ。いずれは翠と本当の家族になりたいと、そう思ってオレの元へ呼び寄せた」
「そんなのひとことも……」
「言えるか馬鹿。蒼が亡くなって、これからお前にとっての唯一の身内みたいなもんになるオレがそんな感情を見せる訳にはいかねーだろ。しかも一つ屋根の下で一緒に暮らすっつーのに」
彼が苦笑を浮かべる。
「それに当時オレは三十路間近でお前はまだ女子高生で。そんなの、いろいろとマズイだろ?だから、いずれ伝えるつもりだった。なのにオレの気持ちを知ったお前が離れていくのが怖くて、結局何も言えねーままズルズルと6年も経っちまった」