あなたとわたしで紡ぐ愛
その表情に、その仕草に、私は"ああ、いよいよだ"、と悟る。
何か言いにくいことがある時、渓くんは必ず私から目を逸らして襟足をくしゃっとする。昔からそう。
乱された髪をおざなりに整えるフリをしながら触れられた熱を確かめれば、先程まで暴れていた心臓が、きゅう、と切なく締め付けられた。
渓くんが私の頭をぐちゃぐちゃに掻き混ぜるのも、私が子供の頃からの癖だ。
どうせいつも乱されるから、手の込んだアレンジをすることはとっくにやめた。
セミロングにニュアンスパーマのかかったチョコレートブラウンの髪は、すぐ直せるように大体いつも無造作に耳より少しだけ低い位置で1つに結んでいる。
ーーこんな風に私が彼をオジサン扱いして、彼が私をコドモ扱いする。
それがいつもの日常で、いつもの2人。