あなたとわたしで紡ぐ愛
ーーあれからもうすぐ6年。
6年も、経とうとしている。
あの時高校生だった私は、昨年無事大学を卒業して、化粧品メーカーの総務部で2度目の夏を迎えるところで。
あの時飲料メーカーの営業部一課の課長だった渓くんは、今や部長という肩書きを背負っている。
兄がいなくなってから、渓くんが兄に代わって私の誕生日をお祝いしてくれるのも、もはや毎年恒例。それも今年でついに6回目を迎える。
随分と、時間が経ってしまったものだ。
『子供は子供らしく甘えとけ』
あの時渓くんはそう言ったけれど。
2年前、立派に成人して子供を卒業してしまった私は、"いつまで渓くんに甘えていて良いんだろう"、ずっと心の片隅にその疑問を携えながら、でも何も言わない渓くんに甘えてズルズルとここまで来てしまった。
彼が私を子供扱いする内はまだここにいても許されるんじゃないか。そんな風に、勝手に都合よく解釈して。
なのに、子供扱いされる度にどうしようもなく胸が締め付けられるようになったのは、いつからだっただろう。