オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
「お母さんと……本気で……愛し合ってたんですか……?」
先に口を開いたのは明香だった。その黒い大きな瞳は山下の瞳を逸らさず、見つめた。
山下は、少し躊躇うようにして、静かに言葉を紡いだ。
「僕が愛したのは、……愛してしまったのは、……妹の美恵子のほうです。黒髪に黒い大きな瞳で、よく笑う朗らかな女性でした……
僕らは犯してはいけない禁断の恋と知りながら、愛し合い、明香さんを授かった。……血が濃かったのが原因なのかわかりませんが、美恵子は……明香さんを産んですぐに亡くなりました。
……理恵子からは、当然ですが、酷く批難されましてね。それでも、理恵子自身も幸之助さんとの許されない関係を貫き、冬馬君を授かった事もあり……とにかく……このままじゃ、明香さんが、可哀想だと。
生まれたばかりの赤ん坊を男手一つじゃ育てるのは大変だろうし、もしも禁忌の子だとわかれば、明香さんが、奇異の目で見られるからと、理恵子が、我が子として引き取ったんです」
「それなら、母は、何故、平山なんですか?」
兄妹ならば、苗字は同じ山下の筈だ。
「明香さんを引き取るために、また、禁忌の子だと知られないために、母方の旧姓を名乗り、山下の戸籍を離れたんです。その時に、弁護士先生を紹介してくれたり、市役所でそういうことに詳しい人を教えてくれたりと、明香さんを実子として戸籍に入れれるよう、幸之助さんには、大変お世話になったと、理恵子が話しておりました。」
幸之助が、明香のために、動いたのか?俺たちに何一つ興味を示さない幸之助が?
先に口を開いたのは明香だった。その黒い大きな瞳は山下の瞳を逸らさず、見つめた。
山下は、少し躊躇うようにして、静かに言葉を紡いだ。
「僕が愛したのは、……愛してしまったのは、……妹の美恵子のほうです。黒髪に黒い大きな瞳で、よく笑う朗らかな女性でした……
僕らは犯してはいけない禁断の恋と知りながら、愛し合い、明香さんを授かった。……血が濃かったのが原因なのかわかりませんが、美恵子は……明香さんを産んですぐに亡くなりました。
……理恵子からは、当然ですが、酷く批難されましてね。それでも、理恵子自身も幸之助さんとの許されない関係を貫き、冬馬君を授かった事もあり……とにかく……このままじゃ、明香さんが、可哀想だと。
生まれたばかりの赤ん坊を男手一つじゃ育てるのは大変だろうし、もしも禁忌の子だとわかれば、明香さんが、奇異の目で見られるからと、理恵子が、我が子として引き取ったんです」
「それなら、母は、何故、平山なんですか?」
兄妹ならば、苗字は同じ山下の筈だ。
「明香さんを引き取るために、また、禁忌の子だと知られないために、母方の旧姓を名乗り、山下の戸籍を離れたんです。その時に、弁護士先生を紹介してくれたり、市役所でそういうことに詳しい人を教えてくれたりと、明香さんを実子として戸籍に入れれるよう、幸之助さんには、大変お世話になったと、理恵子が話しておりました。」
幸之助が、明香のために、動いたのか?俺たちに何一つ興味を示さない幸之助が?