オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
どの位眠ってたんだろうか。
窓の外を見れば、雨は上がって藍色の空が見える。
「冬馬?」
隣に手を伸ばせば、まだあたたかい温もりが、ベッドシーツに残っている。
慌てて起き上がると、二重に掛けられていた毛布がはらりと落ちて、私は、慌てて肩までかけ直した。
「起きた?」
ガウンを着て小さなテーブルで煙草を蒸しながら、夜空を見上げていた冬馬が、灰皿を置いて立ち上がると、そのままベッドの脇にきて、毛布で私の身体を巻き直した。
「ごめん……寝ちゃった」
「別に、見てて飽きないし」
「え?」
赤くなった私を眺めながら、冬馬が意地悪く笑った。
「星だけど?」
「冬馬のいじわるっ」
ふっと笑った冬馬の笑顔に、それだけで幸せで一杯になる。
心臓は、冬馬が笑う度に、冬馬への恋心が風船みたいに、あっという間に膨らんでいく。
「こいよ」
その言葉に、冬馬の首に手を回した私を、抱きかかえると、互いに向かい合うようにして、冬馬が私を膝に乗せたまま、椅子に腰掛けた。
見上げれば、冬馬の顔が近くて、思わず顔が熱くなる。
「ばぁか。赤くなんな」
「……だって……」
あんな風に、冬馬に抱かれて、乱れた私を、冬馬はどう思っただろう。初めて抱かれたわけでもないのに、考えただけで、恥ずかしくなる。
「綺麗だった」
冬馬は、私から目を逸らすとそれだけ言って、また煙草を吸い込んだ。
冬馬は、何でも分かってしまう。それは今までは半分だけ分けた血のせいだと思ってたけど、そうじゃなかった。
「見ろよ、オリオン綺麗だな」
大きなガラス窓からは、少し見上げれば、藍色の夜空にオリオン座が輝いている。
冬馬と二人きりで見る、オリオン座は3回目だ。