オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
冬馬の鼓動が、とくんとくんと聞こえて、心地よくて、安心する。

冬馬の唇が、私の首筋に当てられる。

「冬馬」

名前を呼んだと同時に首筋は、チクンとする。

「いつもさ……明香は、俺のもんだって、言いたかった。誰にも触れさせたくなくて、俺のものにしたくて堪らなかったから」

ーーーーポタンと涙がこぼれる。

冬馬も同じことを想っていてくれたことが、嬉しくて、そんなことですら、幸せで堪らない。

私は、冬馬の首筋に唇を寄せた。誰かにキスマークをつけるのは、初めてだ。

「冬馬……大好き」

ほんのり赤くなった冬馬の首筋を見て、私の頬も染まるのが分かった。何だか恥ずかしくて俯いてしまう。

「何?」

冬馬が、ワザと私に訊ねる。たどたどしく、つけたのだから、理由はわかってるクセに。

「初めて……つけたから……」

「俺も」

「え?」

思わず見上げた、冬馬から唇が降ってくる。

「俺も……女につけたのは、明香が初めて。自分のモノにしたい女なんていなかったから……」

冬馬が、少しだけ体を離すと、真っ赤な顔した私の額にこつんと額を当てた。

「お揃いだな」  

意地悪く笑った、冬馬の頬に触れると、私達はまた唇を重ねた。何度か繰り返して、また二人でベットに沈んだ。

何度、冬馬の名前を呼んでも、何度キスをしても、何度、愛してると言っても物足りなくて、それでも、冬馬が目の前にいて、すぐに触れられる距離に居ることが、幸せで愛おしかった。

見上げれば、私よりも体温の高い冬馬の温もりが、私の心も身体も丸ごと包んで、抱きしめてくれる。

もう何処にも行かないように、決して離れないように。

「明香、愛してる」

冬馬の甘い声を聞きながら、二人で過ごした、このオリオンの夜が、私は、今まで生きていて1番幸せだったの。
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